Day5 ー最も好きな時代小説ー


「おせん」 池波 正太郎著
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こんにちわ。
day4からday5まで、空きが1日の筈なのですガ、
久しぶりに地上に降りてきましたら、
すっかり3か月経ってました。ビックリ!

な訳で、しれっと続き。


池波正太郎が残した時代作品は数々あれど、
ボクはこの一冊がいちばん好き。
13人の女性の人生を綴った短編集です。

川端康成の描く女性の美しさや、
泉鏡花の描く女性の妖しさとは違う、
江戸の女の粋と強さとしたたかさ、
何より生きることへのリアルな健気さが、
「今ではほぼ絶えてしまった、
江戸の市井に生きる人たちの
なんとも謙虚で美しい言葉遣い」によって、
描かれています。


読んでいると、まるで自分の目の前に、
13人の女性が次から次へと現れて、

「わたくしの話などたいして面白い話では
 ございませんでしょうが、まぁ、ひとつお聞きくださいな」

と話し出し、
語り終えると薄い唇に笑みを残して
「ではごめんくださいまし」と、サラリと消えていく。

そんな不思議な感覚を、
何度読んでも味わえる一冊です。


たまんない。